年に数回、風を通しに帰る。庭の草を刈って、仏壇に手を合わせて、また鍵を閉める。それを何年も続けてこられた方は、高知にたくさんいらっしゃいます。手放せないけれど、このままでいいとも思えない。そのもやもやは、まったく自然なものです。
選択肢は「売る」「壊す」だけではありません
空き家の相談というと、売却か解体の二択で語られがちです。けれど実際には、所有権はご自身に残したまま、宿として使ってもらうという三つ目の道があります。所有者の方はご自身の家を手放さず、家は人が出入りすることで傷みにくくなり、まちには新しく訪れる人が増える。私たちが高知きんつぎ空き家協同組合として取り組んできたのは、この形です。
誰も出入りしなくなったときです。
よくいただくご心配
- 知らない人が泊まるのは、正直こわい
- ご不安はもっともです。一棟貸しの宿は、事前にご予約いただいた方だけが滞在する仕組みで、身元の確認も法令に沿って行います。誰でも自由に出入りできる場所にはなりません。
- 仏壇や荷物が、そのままなのですが
- そのままで結構です。まず現状を拝見してから、どこを残し、どこを片づけるかを一緒に決めていきます。触れてほしくない部屋を残したまま活用した例もあります。
- 近所に迷惑がかからないでしょうか
- これまで運営してきたなかで、ご近所とのあいだで問題が起きたことはありません。ありがたいことに、きちんとした方に泊まっていただいています。一棟貸しの宿は、その土地で静かに過ごしたい方が選ばれる場所です。もちろん、まちに受け入れられてこその宿ですから、私たちも気を配り続けます。
- 将来、また家族が使いたくなったら
- ご自身が使いたいときは、ご自身で使っていただけます。宿として動かしたい時期は宿として稼働させ、ご家族で過ごしたい日はご相談いただければ、その日は予約が入らないようにできます。手放すのではなく、使い方を分け合うという感覚に近いかもしれません。
放っておくことにも、費用はかかります
使っていなくても、固定資産税や火災保険、草刈りといった維持の費用は毎年かかり続けます。また、管理が行き届かない状態が続くと、行政の判断によって税制上の優遇が受けられなくなる場合があるとされています【要確認:空家等対策特別措置法にもとづく「管理不全空家」「特定空家」の指定と、住宅用地特例が解除される条件の最新の運用】。「決めないでおく」ことも、静かにコストを生んでいます。
とはいえ、急いで決める必要はありません。まずは「うちの家、どうだろう」だけで構いません。宿に向かない建物であれば、私たちは正直にそうお伝えします。売却や解体のほうがよいと判断すれば、それも含めてご相談に乗ります。
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