「空き家を宿にする」と聞くと、特別なことのように感じるかもしれません。けれど高知という土地で見ると、これはとても自然な選択です。理由は大きく三つあります。
一、空き家が、たくさんある
高知県は、人口の減少とともに使われない家が増えてきた地域です。総務省の令和5年(2023年)住宅・土地統計調査によると、高知県の空き家率は約20%で全国5位。賃貸・売却用を除く、いわゆる活用されにくい空き家に絞ると全国2位という水準です。裏を返せば、宿に向く素材となる建物がまちのあちこちに眠っているということでもあります。壊すのではなく活かす。その受け皿として、宿泊施設という使い道は理にかなっています。
二、旅のかたちが、変わってきた
大きなホテルに泊まって観光名所をまわる旅だけでなく、「その土地に暮らすように過ごす」旅を求める人が増えてきたと言われています。一棟貸しの宿は、まさにこの流れと相性がよいかたちです。台所で地の食材を料理し、朝は近くの商店で買い物をする。まちに溶け込む滞在は、大型施設では得にくい体験です。
宿は、その続きを旅人と分かち合う場所になります。
三、まちなかにも、自然のそばにも建っている
高知の空き家は、商店街の一角にも、山や川のそばにも残っています。観光の中心地から少し離れた場所でも、一棟貸しなら「静けさ」や「地元らしさ」そのものが価値になります。よさこいの季節のにぎわいから、ふだんの高知ののんびりした時間まで、その家がある場所ごとに違う魅力を届けられるのです。
もちろん、どんな空き家でも宿になるわけではありません。建物の状態や立地、法的な条件によって向き不向きは分かれます。だからこそ、「この家は宿に向いているか」を早い段階で見極めることが、遠回りをしない第一歩になります。私たちは自分たちの宿を営みながら、その見極めを一軒ずつ積み重ねてきました。
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