一棟貸しの宿づくりは、思いつきで走り出すより、順番を知ってから動くほうがずっと近道です。大きくは、五つの段階に分けて考えると迷いません。
01受け継いだ空き家を見極める
宿づくりは、必ずしも物件探しから始まるとは限りません。親から実家を受け継いだ、誰も住まなくなった家がそのままになっている——そうして手元にある一軒を、どう活かすかから始まる方も少なくありません。すでにある家なら、探す手間はありません。まずは、その家が宿に向いているかを落ち着いて見極めるところからです。
見るべきは、広さや間取りだけではありません。周りに何があるか——まちに暮らすように泊まれる立地かどうかが、あとの魅力を大きく左右します。あわせて、建物の傷み具合や、相続の名義・権利がきちんと整っているかも、早めに確かめておきたいところです。相続登記や共有名義の扱いなどは、あとの手続きに関わってきます。ご自身のケースでどう整理すればよいかは、早めに専門家へ相談しておくと安心です。
そして何より、思い出の詰まった家をどうしていきたいか。その気持ちの整理が、いちばんの出発点かもしれません。誰も住まなくなった実家、どうしますか、高知の空き家が宿に向いている理由も、あわせてご覧ください。
02許可の見通しを立てる
物件の目星がついたら、その建物で宿の営業ができるかを確かめます。ここで関わってくるのが、用途地域などの土地のルールと、どの制度で営業するかという選択です。旅館業(簡易宿所)で始めるのか、民泊(住宅宿泊事業法)で始めるのか——このあたりは旅館業と民泊、一棟貸しはどっちで始める?と高知で必要な許可の基本で整理しています。
03消防に事前相談する
意外と後回しにされがちで、じつは早めに動きたいのが消防です。必要な設備は建物ごとに変わるため、改修プランを固める前に所轄の消防へ相談しておくと、二度手間や余計な費用を避けられます。詳しくは一棟貸しの宿、消防設備は何が必要?で解説しています。
それが、遠回りをしない一番の近道です。
04改修プランをつくる
許可と消防の見通しが立ったら、いよいよ改修です。ここで大切にしたいのは、すべてを新しくしないこと。古い建物が持っている味わいを残しながら、泊まる人の安心と快適さを足していく——壊さずに継ぐという考え方は、そのまま宿の個性になります。日本家屋の空き家活用に学ぶ「継ぐ」改修もご参考に。
05申請、そして開業へ
改修と並行して、必要な許可の申請を進めます。すべてが整えば、いよいよ開業です。ただ、宿は開けてからが本番。予約の受け方、料金の考え方、お客様への向き合い方——ここからの運営が、宿を育てていきます。
なお、開業までにかかる期間は、物件の状態や改修の規模、行政とのやりとりによって大きく変わります。一概に「何か月」とは言いにくいのが正直なところです。だからこそ、早い段階で全体像を持っておくことが、遠回りをしない何よりの支えになります。
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